人・人・人

私は過去に、大手企業の金沢営業所で22年間、販売員として働きました。
その前は地元の中小企業２社で事務員を各々２年づつ勤めました。
当然ですが、どの会社も売上げアップにかける空気が濃厚でした。

特に販売員だった大手企業は、猛烈にお金と数字の世界でした。
自慢になりますが、その企業で私は18年間連続して売上高全国１位でした。
２位の売上高が私の３分の１でした。
なので、その企業では特別な待遇で、特別な存在として扱われました。

そんな体験から自信を持って、遅まきながら自分で事業を立ち上げてみたら、販売と経営とは全く違う能力が必要な事を痛いほど思い知らされ、連日壁にぶつかり苦しみました。
経営の経験が無いだけに、何が悪いのかも解らない。
でも悩んでいる時間も無く、とにかく売上げが無い事には固定費さえも払えない。
無能な自分に気付き、猛勉強を始めました。

ところが、どこへ勉強に行っても「戦略」「商戦」「勝ち組」
講師の先生は「勝つには、どうするか？」を説く。
教わった事を実践するが売上げが上がらない。
スタッフ達とも上手く意思疎通ができない。苦悩が更に増え続きました。

自分の中で、勉強してきた事への違和感が芽生え始めました。
何かが違う。私の理想と違う。
そんな時、テレビで観たある会社の社長さんが言ってた言葉に、自分の思いが強烈に重なった。

「商売は、人・物・金、と言うけれど、それは違う『人・人・人』である」
「会社は急成長をしなくても良い。ゆっくり成長すれば良い」

それを聞いた時、私の心に光が射しました。心が決まりました。
経営の経験が無くても、何が無くても、人・人・人！！
武田信玄の名言「人は城・・・」

以後の私は戦うのを止めました。
売上げが、ゆっくり～ゆ～っくり～伸び始めました。